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エビングハウスの忘却曲線から分かる忘れない英単語の覚え方

(2019年2月最新版)

「今日は10単語ずつ覚えよう!」

「少しずつ覚えていけば、いずれ単語帳を終えられるはず・・・」

そんな「少しずつ覚えて行く主義」の方、その英単語暗記法今すぐ見直しましょう。

 

今回は、誰でも効率的に英単語を暗記できる「エビングハウス忘却曲線」をもとにした、という、エングリットでも採用している研究を活かした方法を紹介いたします。
結論として、

  • 出来るだけ早い時期での復習
  • 高い頻度の反復学習

この2つが英単語を暗記する上で重要です。では、詳しく見ていきましょう!

 

英単語の暗記は「すぐ忘れてしまう」のが前提

 

英単語に限らず、人間は基本的にすぐ物事を忘れるもの。そこで大切なのが「記憶すること」→「記憶を貯めること」→「思い出すこと」の3ステップです。
※この3ステップについては、エングリットが重視する英語学習の記憶アルゴリズム。をご覧ください。

 

ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスはこの3ステップに関する研究を行なっています。以下は彼の研究に基づいた中長期記憶の忘却を表す曲線で、

 

エビングハウス忘却曲線(1)


上記の図は、自分に馴染みの全くない無意味な音節を記憶し、時間が経過した後、「どれくらいの難易度で思い出すことができるか」を記録したものです。

 

  • 20分後には、節約率が58%
  • 1時間後には、節約率が44%
  • 約9時間後には、節約率は36%
  • 1日後には、節約率が34%
  • 2日後には、節約率が28%
  • 6日後には、節約率が25%
  • 1ヶ月後には、節約率が21%

 

というデータが出ています。

 

注意してほしいのが、この節約量というのは忘れる「量」ではなく、一度記憶した内容を思い出すのに必要な「時間(回数)」をどれだけ節約できたかを表しています。

 

  ※節約量=「節約された時間または回数」÷「思い出すのに要した時間または回数」)

 

  例1)最初に記憶した際10分かかっていたものを、1時間後に2分で想起できたとします。

   すると記憶してから1時間後の節約量は、
  (節約された時間=10分-2分)÷(思い出すに要した時間=10)=0.8→80%

 

  例2)最初に記憶した際10分かかっていたものを、1日後に5分で想起できたとします。

   すると記憶してから1日後の節約量は、

  (節約された時間=10分-5分)÷(最初に要した時間=10)=0.5→50%

 

つまり、「最初に覚えてから時間が経てば経つほど、思い出すことに手間・時間がかかる」というのが「エビングハウスの忘却曲線」の原理です。つまり、「出来るだけ早いタイミングで英単語を復習をすると負担が少なく・早く暗記することが可能」となります。

 

最初に覚えてから時間が経てば経つほど、思い出すことに手間・時間がかかるということ。つまり、出来るだけ早いタイミングで英単語を復習をすることで、より早く暗記することができます。

 

もっとも効果的なのは最終的に1日に300〜400語程度を暗記し、覚えたい該当範囲を5日〜1週間で1周できるようになること。

 

例え10日かかったとしても、段々と慣れれば5日で回せるようになります。最初から完璧を求めないようにしましょう。2割、4割、5割、6割、6割5分、7割のように段々と単語は記憶に定着します。

 

英単語を暗記するには高い頻度の反復学習が必要

 

 

冒頭でもあげたように、「今日は10単語ずつ覚えよう!」「少しずつ完璧に覚えていけば、いずれ単語帳の内容すべてを丸暗記できる!」というふうに単語を暗記しようとしていませんか?

 

そんな「少しずつ覚えて行く主義」の方、その英単語暗記法今すぐ見直しましょう。

 

少しずつ覚える代わりにおすすめしたいのが、「高い頻度の反復学習」。これもエビングハウスの実験で、大量の物事を暗記できることが明らかになっています。

 

下の図を見てください。エビングハウスは、無意味な音節の数(N)と必要な朗読回数(n)の因果関係を研究しました。

 

エビングハウス忘却曲線(2)

 

この研究から、朗読回数(n)が多ければ多いほど暗記できる音節(N)の数も多くなっていることが分かっています。つまり同じものを反復的に学習することで、多くの英単語を暗記できる」ということなのです。

 

英単語の反復暗記をする上でのコツ

ではここで、エビングハウスの忘却曲線をもとにした、英語の反復暗記をする上でのコツを紹介いたします。これはサウスピークサウスピーク新宿校でも取り入れているものです。

|繰り返し|単語帳はとにかく何周もすること

繰り返しになりますが、英単語を覚え、長期的に定着させるためには「一つの英単語をそのつど完璧に覚えること」ではなく、「一定の期間でその英単語にどれだけ触れたか」が大切になります。

大切なのは、大量の英単語に短期間で触れること

 

☓)1時間かけて1単語を覚える。毎日新しい単語を覚える。

◯)1週間スパンで100語覚える。毎日100語を音読し、一語一語に長時間割かない

 

ぱっと見で意味が思い浮かばないものがあれば、その意味を10分20分かけて思い出そうとするのではなく、意味を確認して次の単語にさっさと先に進んで行くのがベターです。

 

とにかく何度も何度もその単語に触れ、反復・復習しましょう!

日本語訳を覚えるのではなく、単語のイメージを映像化する

単語ごとに意味を頭の中でイメージ化(映像化)することも大切です。よくやりがちなのが、英単語を日本語対訳で完璧に覚えようとしてしまうこと。ですがそれではたくさんの意味を持つ単語に対応しきれませんし、詰め込もうとしてもなかなか覚えられませんよね。

 

ですが単語の意味を頭の中でイメージ化(映像化)して覚えると、定着しやすくなるのです。

 

これは、似た意味の単語を区別して覚えたい時にも便利です。例えば“road” と“street”の場合、画像検索すると以下のようになります。

画像検索の結果を見るに、“road”は車道幅の広い道路や、山沿いの道路など、人が行き交うというよりも車が走る場所といった印象を受けますね。長く、直線的なある程度スピードを出せる道路といったイメージでしょうか。

“street”で検索すると、人通りが多い街中の写真が出てきます。建物などの間を縫うように通っているのが“street”のようです。「道路」というよりも「通り」といった印象を受けます。

 

このように使い分けが難しく、意味の違いがいまいちよくわからないという単語も、画像検索などを駆使してイメージで覚えてみてください。

 

全ての対日本語訳を完璧に暗記できれば良いですが、それでは効率が悪く、困難です。頭の中で英単語とイメージをセットにして意味を覚えるようにしましょう。

音読学習を取り入れることによってより効果的に

音読を行うことで、より効果的に英単語を暗記できることが分かっています。音読では声に出して口を動かすので、言葉の音(ワーキングメモリの音韻ループ)、口の動き(運動記憶)を活性化させます。


その為、ただ情報として英単語とその意味をインプットするよりも、音と口の運動も連同した記憶で補強することで記憶がより定着しやすくすることが可能なのです。

 

また実際の会話などでは、音読と同じように口を動かし声に出すので、音と口の運動が融合した知識はとっさに口から出やすくなります。
なぜ、英語は音読が効果的なのか?|音韻ループ・構音記憶での補強について

英語と音読の関係|ホントに音読で英語上達するの?(サウスピークの英語音読メソッド)

語源暗記法によって、より定着しやすく

記事上部で紹介したエビングハウスの忘却曲線は、記憶するもの同士に関係性がない場合です。

関係性のある単語は、語源で覚えて効率的にたくさんの単語を覚えてしまいましょう! 単語の語源を理解することにより単語同士の関連性が増し、暗記が容易になります。詳しい方法は、「語源暗記法」の参考書と学習方法をチェックしてみてください。

 

ここで紹介したいのが「暗記が苦手な人にお勧めのTED動画『誰でもできる記憶術』と語源暗記法」です。この記事では、語源暗記法にプラスして、「視覚化」「符号化」を提唱しています。

 

例えば、「宇宙飛行士」“astronaut” の場合。

星を意味する “astro” + 人、特に船乗りを意味する “naut” = “astronaut”

この構成から、「星々を渡る船乗り」をイメージするのです。その上で “astronaut” は「宇宙飛行士」と覚えたら、普通に覚えるよりずっと忘れにくいでしょう。これが「視覚化」です。

 

これだけでも十分覚えやすくなりましたが、ここからもう一押しましょう! 自分の宇宙飛行士のイメージを、“astronaut” という単語と結びつけるのです。

 

 

例えば、スペースシャトルエンデバーに登場した毛利衛さん、世界初の有人宇宙飛行を果たしたガガーリンや、人気マンガの「宇宙兄弟」などがそのイメージとして挙げられます。より具体的で、親しみのあるイメージと結びつけるのがポイントです。

 

イメージが浮かんだら、英単語帳の “astronaut” の項目に「毛利衛さん」など自分のイメージをとメモしておきましょう。イラストまで書いたらなお良いです。このように、身近な連想しやすいものと、新しく覚えようとする英単語を関連付けるのが「符号化」です。

 

 

単語の覚え方|山田暢彦先生からのアドバイス                     

 

では最後に、英語講師として活躍されている山田暢彦先生からのアドバイスのをご紹介しましょう。山田先生はアメリカで生まれ育った英日のバイリンガルで、「英語のスピーキングが驚くほど上達する NOBU式トレーニング」をはじめ、多数の英語教材を出版されています。

 

サウスピーク塾長Hal_J(左)と山田暢彦先生(中央)、サウスピークスタッフKimie(右)

なお、最後に、単語学習についてもう1点だけアドバイスがあります。それは、「全ての単語を同じテンションで覚えようとしない!」ということです。難しい単語は、自分では使えなくてもいいですが、相手の話を理解するには必要かもしれませんね。ですので、「意味がわかる」ことを目指して覚えるようにします。

 

※「意味は理解できるけど自分では使えない語彙」をpassive vocabularyと言います。passiveは「受け身の、受働的な」という意味。

 

一方で、中学レベルの単語は、自分で使えるべき単語です。これらは、「意味がわかる」という基準ではなくて、「自分で使える」(例えば、例文がパッと作れる)というより厳しい基準で学習していくことが重要です。

 

※意味を理解し、自分でも使いこなせる語彙をactive vocabularyと言います。activeは「能動的な」という意味。

 

こうしてpassiveとactiveを意識することで、より目的にかなった効率的・効果的な単語学習ができるでしょう。

山田暢彦先生連載記事…英語の初級者は “ココ” をやろう!(3)〜単語編〜」より

専門的で馴染みの薄い単語は「意味は理解できるけど自分では使えない語彙」と定め、使いこなせるレベルまで落とし込もうと時間と労力を使いすぎず、効率的に単語を覚えていきましょう!

 

番外編 とりあえず “very” を使っていませんか?

ここで語彙力増強に関する記事を紹介します。
英語の語彙力を高めるために”VERY”を使うのをやめよう

 

最もよく使われる単語の1つであろうこの “very” を封印して “very + 形容詞” を別の形容詞で言い表そう!という提案がなされているのが本記事です。 例えば “very short” は “brief” と言い換えることができ “very fast” は “rapid” と表現することができます。

 

“very” を使わないという制限は、特に重い負荷であるはずです。今までに書いた英作文をチェックしてみてください。“very” がたくさん使われているのではないでしょうか。英会話も然りです。

 

このように、多くの英語学習(初心)者にとって“very”は親しみのある、使いやすい単語でしょう。ですが、このような制限を設けなければなかなか新しい単語を定着させることは難しいのです。

 

はじめこそ単語が出てこなかったり発音に自信がなかったりと、もどかしい思いをすることがあると思いますが、大きな成果を得るために負荷をかけ、少しずつ着実に単語力UPしていきましょう。

 

 

英語力も同様ですが、語彙力をUPし続けるには長期の継続学習が前提になります。英語学習は成果が出るまで時間のかかるものですから、焦らずじっくりと、かつ効率的に取り組みましょう。

 

 

まとめ

 

では最後に、エビングハウスの忘却曲線に関する研究に基づいた英単語の覚え方のコツをまとめます。

 

1.出来るだけ早い段階で復習をすることが大切

2.反復学習が英単語暗記の肝

3.ひとつの単語を短期間で完璧に覚えようとしない

4.日本語訳を覚えるのではなく、単語のイメージを映像化する

5.音読学習を取り入れることによってより効果的に

6.語源暗記法によって、より定着しやすく

 

本記事は単語力UPの参考になりましたでしょうか。英語学習者の皆さんのお役に立てれば幸いです。少しずつ着実に、かつ効率的に単語力・英語力を伸ばしていきましょう!

 

参考記事

TOEICで必要な英単語について|TOEICに欠かせない単語力まとめ(点数別)

TOEFL試験における単語暗記の重要性と暗記方法。TOEFL攻略には何単語必要か

 - 学習科学研究

執筆者

小林 英樹

ひでぶろぐ〜圧倒的英語戦隊〜(http://hideblog-neetryz.com/)の運営者。
学習院大学卒業。
3ヶ月のサウスピーク留学でTOEICスコアを415点上げ、現在のスコアは825点。
「留学前は英語学習の初心者であった」という経験を活かし、誰にでも分かりやすい解説を心がけます。
@MazdaYUSAKU