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「寝れば覚える」ではない。睡眠学習の鍵は反復と刺激!

 

 

アメリカ人の平均睡眠時間は約7,6時間だ。計算すると、一生のうち20万時間以上は寝ていることになる。もしこの膨大な時間を使って、楽器の奏法を身につけることや外国語学習のような、普段なかなか時間が取れず取り組めないことに挑戦できるとしたら、どうだろうか?

 

「寝る前に覚えたことを、寝ている間に魔法のように定着させることができる」という、いわゆる「睡眠学習」は長らく希望的な発想とされてきた。だがノースウェスタン大学の研究により、記憶を色濃くし、定着させやすくすることが’確かに可能だということが判明した。

 

ノースウェスタン大学による研究

 

このほどNature Neuroscienceに最新の研究が掲載された。実験において、この研究チームはまず被験者に指運びを教え、キーボードを使って2つの曲を演奏するよう彼らに指示した。その後被験者は、照明を落とした暗い部屋で90分間昼寝をとった。

 

被験者が、睡眠のサイクルにおいて最も眠りが深い部分の「徐波睡眠」に入ると、2曲のうちの1つが繰り返し流された。そして昼寝後試してみると、被験者たちは皆、睡眠中に聞かなかった曲に比べて聞いた曲をより詳細に思い出し、上手に演奏することができた。

 

<「寝れば覚える」という定説との違い>

これは例えば、外国語の知識や間近にせまった試験内容のような新しい情報を、ただ聞いていれば記憶することができるといった不確かな定説とは異なる。

 

ノースウェスタン大学の心理学者でこの研究の共著者であるPaul J. Reber氏は、プレスリリースの際に「記憶はもう学んだことによって強化されると示したこの実験は、今までのいわゆる「睡眠学習」の定説とは異なる。」と述べた。

 

「寝ている間になにか新しいことを覚えるのではなく、最近得た情報を反復することで、それについての記憶を強める事ができるとこの実験は示している。」

 

その上研究者たちはこの実験中に、睡眠段階における脳の活動も計測した。

 

「睡眠中の電気生理信号が記憶力を高めると判明した」と筆頭著者のJames Anthonyは発表した。「したがってこれらの信号は睡眠中に記憶力向上を促す脳の活動を測っている。」

 

同チームによって行われた以前の研究は、驚くほどに睡眠中の脳が活発に活動していること、そしてこの活動を通じて記憶力を高める事ができるかもしれないと指摘した。2011年の研究で、研究者たちは昼寝をする前にコンピューター画面に映される様々な種類の画像、音、そしてその位置の関連を参加者に覚えさせた。そして被験者が寝ている間に、研究者たちは音楽を流した。

 

その後の実験で被験者たちは、昼寝中に聞かなかった音と、そのペアの位置に比べ、昼寝中に聞いた音と一緒に記憶した位置を思い出すことに長けていことが分かった。顕著なことに、その音が被験者を目覚めさせることはなく、被験者たちは昼寝の間にその音を聞いたことを全く覚えていなかった。

 

研究者たちにとってこの実験は、以前の研究において一番夢を見やすいレム睡眠の間に脳は最も活動的だと想定されていたにも関わらず、睡眠についての半直感的な事実を証明したものである。

 

そして実は徐波睡眠が意味のある脳の活動であるようだ。「深い睡眠が実は記憶処理にとって重要な時間であるということがわかり始めている」と以前の研究の筆頭著者Ken Paller氏は語った。

 

研究者たちは深い睡眠の間にどのように脳が記憶を定着させるのか完璧には理解していないが、脳が睡眠中にその日起きたことを反復していると確信している。この傾向が、比較的複雑な記憶作業における連続的な強化作用を増長しているかもしれないことがこの研究を通じてわかった。

 

研究者たちは、運動技能や他の習慣などの、他の種類の記憶が睡眠中に強まるかもしれないということを調査すし、この作用についてより深く調べようと計画している。

 

「睡眠学習」の正体は、暗記の効率化

 

新しい言語を学ぼうと、単語や会話中のセリフを覚えようとしている皆さん、睡眠時間を上手に利用すれば、覚えたことを定着させる機会が増えますよ!

 

 - 学習科学研究

執筆者

神農亮